高校教師×パート衛生士の資産形成ブログ

パートDH(歯科衛生士)の主婦による資産形成の備忘録です。また都立高校教師の妻が日々感じている「学校」や「教師」の不思議についても発信します。

教員の残業代なし問題、残業は自発的なものと一蹴された件。

おはようございます。

先日TwitterのTLに、旦那がよく口にする「教員の残業代なし問題」についての話題が出ていました。そもそも給特法とやらで教員には残業代というものが存在せず、代わりに一律で月給の4%分が上乗せされています。

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そのことに対して問題提起している埼玉県公立学校の田中先生という方の訴訟で東京高裁の判決がこちら↓↓

公立小学校教員残業代訴訟 2審も原告の訴え退ける 東京高裁|NHK 首都圏のニュース

「繁忙期には法定の労働時間を超過しているが、その状況が常態化していたとはいえない」と判断し、1審に続いて訴えを退けました。

公立学校の教職員の給与は、月給の4%分が上乗せされる代わりに残業代は支給されないことが法律で定められています。
「教員の業務は自発的なものと校長の命令に基づくものがこん然一体となっているため、一般の労働者と同様の賃金制度はなじまない」と指摘しました。
そのうえで、「校長が授業の進め方などについて具体的な指示をしたことはなく、学期末などの繁忙期には法定の労働時間を超過しているが、その状況が常態化していたともいえない」として、無制限の時間外労働を防止する法律の趣旨にも反しないと判断し、1審に続いて訴えを退けました。

NHK首都圏ニュースより引用

ちなみに1審では、請求は退けられたものの裁判長から以下の発言があり、旦那も「ようやく残業代が少しは出るようになるかも」と給特法の改正に期待していました。

教員の忙しさが問題となるなか、一審のさいたま地裁は昨年10月、原告側の請求を退けつつ、「給与体系の見直しなどを早急に進め、教育現場の勤務環境の改善が図られることを切に望む」などとする異例の付言をし、注目を集めた。当時の萩生田光一文部科学相も記者会見で「司法からも改善を求められていることは重く受け止める」と述べていた。

毎日新聞より引用

今回の判決では結局教員の残業は常態化しておらず、あくまで教員の自発的なものと一蹴されてしまいました。ちなみに先生方の授業準備の時間は5分で計算されていることも話題になっていましたね。

ではここで1学期の旦那の1日について振り返ってみます。

7:00 出勤(すでに4名ほど出勤)

   授業準備、担当クラスの教室整備

   事務関係の報告書

   生徒の欠席連絡等電話対応

8:30    勤務時間スタート

   朝の打ち合わせ、担任なのでSHRへ

~1日3~4時間授業~

空き時間は生徒対応、事務作業、授業準備

15時過ぎ SHR、清掃指導、生徒対応

その後部活動指導があり、18時~19時頃まで業務(まだ仕事をしている同僚多数)

大体毎日こんな感じで、これは特に問題がない場合です。7時出勤18時15分退勤だと約2.5時間の残業です。(休憩時間は45分)ここに生徒の問題行動が加わると大変です。残念ながら1学期はほぼ毎日問題行動があったようで・・

・生徒への事情聴取、特別な指導

・管理職への報告、指導に関しての会議

・外部機関(児相や行政、警察)とのやり取り

・保護者への連絡、面談

これらが授業のない時間や放課後に入ってきますので、「今日は定時で帰れそう」という日でさえ、20時~21時に「今から帰る・・」なんて連絡が入ることもあります。休憩時間中にもさまざまなトラブルが発生し昼ご飯が取れないこともあるとか。

これらの内容があくまで自発的なものとされるのであれば、全員が定時出退勤をするために以下の取り組みを実践する必要がありますね。(高校の場合)

・欠席連絡、家庭への連絡は全てオンラインで

・会議は極力廃止、余計な資料作りはなし

・勤務時間外の保護者との連絡や面談は禁止

・不登校生徒の対応は行政の専門家へ

・勤務時間終了の30分前には生徒の完全下校徹底

・副担任でできる業務は校長命令で副担任へ

小学校や中学校の先生はこれに加えて給食指導等も入ってきますが、それらも廃止ですかね。あとはプリントの丸付けなんかもかなりの時間を取られるようなので、オンラインで提出して自動で採点のサービスなんかがあると良いですね。

ただしこれらはあくまで「全員が定時出退勤」という話ですが、どこの学校でも必ずほぼ毎日定時退勤できる先生夜遅くまで仕事をしている先生がいるわけで、旦那が言うには定時退勤できている先生の特徴として、

・担任は断固拒否

・自分がやらなくても良い仕事は徹底してやらない

・自分がサボっても誰かがやってくれそうな業務は放置

・「私にはできない」で重い業務は拒否

・授業準備は勤務時間内

(できなければ授業はテキトーでOK)

・部活動指導は極力関わらない

(生徒は顧問だということすら知らないケースも)

・会議は参加しないor途中でも堂々と退室

これらを徹底してできる人ですね。大体どこの学校にも一定数いるようです。私の働く歯科医院でも、片付けを他に任せて堂々と帰宅する人がいますがそんな感じですかね。文句を言われようと気にしなければそれが一番コスパの良い働き方なのは間違いありません。

そもそも聞いていて納得いかないのが、高校の場合は仕事量が担任と副担任で圧倒的に違うのに給料は一切変わらないという話。職員室の担任のエリアと副担任のエリアで人口密度が違い過ぎるのは旦那からもよく聞いていますが、業務量が明らかに違うことはわかっているのに「自発的な残業」で片づけられてしまったら、当然担任をやる人はいなくなりますよね。それでも年々勝手に昇給はしていくので、どんどん働かないオジサン&オバサンが誕生していくのだとか。

シロクマ先生は珍しく「担任でも何でも良い、休日は部活もやるからその分給料くれ!」という珍しいタイプですが、多くの先生方はおそらく残業代が欲しいわけではなく、「(無駄な)業務を減らして授業準備に時間を使いたい」「休日は自分や家族のための時間に」と切に願っているはずです。

今回の判決を受けて田中先生は最高裁に上告するとのことですが、労働環境がブラック過ぎて倍率低下に歯止めがかからない現状は明らかなので、熱意ある先生方に子どもたちを見てもらうため今後の給特法改正に期待したいですね。とりあえず教師の妻としては、残業代も出ないのにほぼ毎日定時で帰れない現状はどうにかして欲しいところです。